エピクロス 快楽主義

エピクロス

はじめに

プラトン哲学とは違い、善と悪、快楽と苦痛は全く違うものだという考え(プラトン)と、快楽こそが善であるというエピクロス。

そして、「快楽」を第一の人間の善として人生における全てを判断するという、定義としてはプラトンと対立的。

では一体、エピクロスの言う「快楽」を重視する人生とはどういうものなのか。

以下の4つの題目に分けて紹介していきたいと思います。

欲望の種類

欲望」にはまず大きく分けて、自然的なもの非自然的なもの(人工的なもの、無駄なもの)があり、自然的なもののうち、あるものは必須であり、あるものは必須ではない

そして、人間にとって自然であり必須欲望とは、「幸福を得るための欲望」、「肉体に煩いがないことを求める欲望」、「肉体を生かすための欲望」であるとし、

非自然的な欲望とは、「莫大な財産を持とうとすること」、「名誉や権力を持とうとすること」などであり、エピクロスはこれらの欲望を無駄なものと定義していてなおかつ手に入れるのが難しいものだとも言っています。

一方、自然的な欲望というのは容易に手に入れることができるものであり、過度に食事をとるのではなく自分に適した必要な分を食べる、睡眠を自分に適した時間確保する、自分に合った運動量を考えて運動するなど、身近に手にすることができるものに対した欲望であり、この欲望を満たすことによる「快楽」で満足することができる自分を形成することこそ幸せなのだとエピクロスは考えていて、以下のことを言っています。

質素な風味も、欠乏にもとづく苦しみがことごとく取り除かれれば、ぜいたくな食事と等しい大きさの快をわれわれにもたらし、パンと水も、欠乏している人がそれを口にすれば、最上の快をその人に与えるのである。

出隆・岩崎充胤訳『エピクロス 教説と手紙』 (岩波文庫、1959年4月25日第1刷発行・2021年6月4日第38刷発行)

これらが、エピクロスが分類した欲望の種類であり、抽象的ではありますが僕はなんとなくしっくりきました。

欲望の省察による、選択と非選択

これらの欲望を分類し省察した上で、人生における選択と非選択をし、健康と心の平静がもたらす快楽によって祝福ある生を送ることが人生の目的なのではないかとエピクロスはいいます。

つまり、心を動揺させるような苦痛や恐怖を避ける、あるいは苦痛や恐怖を乗り越えた先にそれらを上回るような健康や心の平静による快楽が待ち構える場合は努力してそれらを乗り越えるというように、いつでも自然的な快楽が苦痛に対して相対的に上回るような人生を送るべきだということでした。

自己充足

自然的な欲望は容易に手に入れられ、非自然的な欲望は手に入れることが難しいということを念頭に置いて、外的なものでなはなく内的なものにもっと目を向けるべきであり、内的なものである自分の価値観を変え、多くのものを手に入れることでしか満足できないと考えるのではなく、容易に手に入れられるもので日々満足できるような自分を形成するということ、「贅沢をもっとも必要としない人こそ、最も贅沢を楽しむ」とエピクロスがいうように、自分の中で完結できるようなことが多い人間がもっとも苦痛が少なく、心の平静を手に入れられるということでした。

思慮という最大の善

エピクロスが「快楽」よりも善いと考えるものそれは「思慮」であり、今まで自分が培ってきた様々な固定観念や先入観から逸脱する思考を大切にし、自分を動揺させるような様々な臆見を追い払うことが非常に重要だと言います。

そして、人生には大きく分けて3つ、必然性がもたらすこと偶然性がもたらすこと自分の力の及ぶ範囲内で出来ることがある。そして、前者の2つ(必然性がもたらすこと偶然性がもたらすこと)は自分ではどうすることもできず受け入れるしかないことであり、後者の自分の力の及ぶ範囲内で出来ることのみ、人生というシステムの支配から唯一逃れていて、「思慮」によってこの部分の選択と非選択をどのように行うのかに人生の非難あるいは賞賛があるとエピクロスはいいます。

そして、思考することなしに運がいいよりも、自分で思考した結果運が悪い方が勝っているとエピクロスが言うように、自分の人生は自分の選択によって大方決まっているという感覚や思考方法が人間が幸せを感じるには必須なのだと僕は感じました。

終わり

快楽苦痛は全く違うものだという考え(プラトン)と、快楽こそがであるというエピクロス。

しかし、対立的に思えるこの2人の思想も考えていることは似ていると感じ、定義の仕方が違うだけなのかなと思いました。

特に、自然的な欲望による快楽を求めることを重視すること(エピクロス)、節制の徳を大事にすること(プラトン)はほとんど同じ意味のことだと感じ、どちらも僕の好きな考え方でした。

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