零の世界

小説

 

とても心地のよい世界へ舞い降りた。

此処へ初めて訪れる人、たびたび訪れる人、もう来飽きた人、

若い人から年長者まで。

小難しさから解放された世界、または小難しさへ没入する世界、

何が本当で何が嘘か、そういったものを小馬鹿にして全てを受け入れ消し去る世界、

ごちゃごちゃなものを受け入れ消し去る心地よさ、変えられないものを受け入れ消し去る心地よさ、死を受け入れる心地よさ。

僕は何も持っていない、ただ全てを手にしている気にもなっている。

零と無限は同じだということを低次の機能で分かった気がした。

何もない不安な心地よさは全てを手に入れた虚しさと同じようなものなのかもしれないし、その中庸が真の幸せなのかもしれない。

まぁ、こういうことを考えるだけ無駄で愚かなことなのかもしれない。

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