「退屈」の解決策?
2人の人物(ラッセル、スヴァンセン)の「退屈」に対する解決策が出てきます。
・ラッセル:「熱意」を持つこと。
・スヴァンセン:「ロマン主義」を捨てること。
*ラッセル(バートランド・ラッセル)とは、主に20世紀に活躍した、イギリスの哲学者、論理学者、数学者、社会批評家、政治活動家です。
世界三大幸福論と呼ばれる著作者(アラン、ヒルティ、ラッセル)の中の一人でもあります。
*スヴァンセン(ラース・スヴェンセン)とは、1970年生まれのノルウェーの哲学者、著作家であり、「働くことの哲学」、「退屈の小さな哲学」が有名です。
・「熱意」を持つこと。
これは、非常に単純なものです。
例えば、自分の好きなことをしている時。例えば、友達とサッカーをしている時、ゲームをしている時、好きな漫画を読んでいる時。
この時間は、「時間」というものを忘れ、それに「熱中」していると思います。
つまり、「熱中」できること、「熱意」を持てるものは、「退屈」を忘れさせるということです。
・「ロマン主義」を捨てること。
「ロマン主義」とは、18世紀末から19世紀初頭にかけて、ヨーロッパやアメリカで発展した文化・芸術・文学の運動です。
理性や秩序を重視する啓蒙主義や産業革命(平等)に対する反発として生まれ、感情、自然、個人的な体験、創造性を強く尊重します。
簡潔には、「個人主義的な思想」です。
有名な漫画は、「ロマン」を求めることが多いと思います。
例えば、ワンピースだったら「ワンピースを見つける」というロマンを求め、ハンターハンターだったら、「一流のハンターになる」というロマンを求め、それ以外の漫画にもそのようなものが多いと思います。
ではなぜ、「ロマン」を求めるのか。「ロマン」を求める漫画はなぜ、人々の興味を引くのか。
自分はみんな(他人)と同じではない。同じはいやだ。自分の力で何かを手に入れたい、そうでなければ自分の生きてる意味は無い。
こういった思いが、誰しも心の中にあるからだと思います。
スヴァンセンによれば、こういった思いの源泉は「ロマン主義」であり、僕たちが「退屈」している証拠でもあります。
よって、スヴァンセンの解決策は、そういった「ロマン主義を捨てること」、「自分を諦めること」。
自分の生きている意味を見つけることを諦めることだといいます。
以上の解決策の問題点
・ラッセルの解決策の問題点
ラッセルの解決策「熱意を持てるものを見つける。」これはとても単純です。しかし、単純ゆえにこういった疑問も出てきます。
「熱意を持てるものであれば何でもいいのか、熱意を持てることであれば何をやってもいいのか」。
自分が熱意を持って取り組んでいること。これが、本質的に自分を幸せにすることなのか、あるいは自分をだまして現実から逃れるためにしていることなのか(パスカルの言う「気晴らし」なのか)。
これらは見極めなければならず、しかし見極めることは非常に難しいです。
「退屈」は一番の不幸であり、恐怖でもあると考えられます。なので、「退屈」から逃れることを人は本能的に優先して望む。例えそれが苦痛を伴うことだったとしても、「退屈」よりはましだと考える。
例えば、ギャンブルで金を減らすこと、争いでけがをすること、命を落とすことまで望むときがある。
「退屈」から逃れるための熱意(気晴らし)の対象は、何でもいいわけではない。それで苦痛(不幸)まで求めてはいけないということでした。
・スヴァンセンの解決策の問題点
スヴァンセンの解決策「ロマン主義を捨てること。」これはラッセルの解決策に比べて極端に難しいと思います。
ルフィに「海賊王になるのを諦めろ」といっているようなものだし、ゴンに「ハンターになることを諦めろ」といっているようなものです。
ルフィは「死んだ方がましだ」というだろうし、ゴンは母のような存在の人を裏切ってまでハンターになりました。
到底解決できるとは思えません。
でもこの解決策の問題点は単純です。「難しすぎる」ということです。
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